教育支援情報 A-001  「各国の学校制度(義務教育)」

 日本の小中学校の学年度は4月に始まり、3月に終わります。また、全日制であり、落第はありません。日本人にとっては当たり前のことです。

 ところが、日本以外の国々に目を向けると、それは「当たり前」ではありません。

 左表を見るだけでも、落第のある国が圧倒的に多いし、学年度が4月始まりではない国の方が多いです。落第があるということは、別の面でいうと、同学年に複数回在学があり得るということになります。

 

 実際にあったケースでは、中国人の親が中国で中学3年の子どもを2月末に日本に呼び寄せました。親は日本の学年度が4月始まりであることから、その手前に呼び寄せて日本の中学校で中学3年をもう一度修学すれば日本の高校受験に準備もできると考えたからです。子どもは3月初めが15才の誕生日であり、過年齢で編入はできないと言われました。その3月に相談に訪れたので、中国にすぐ帰国し中国の中学校を卒業(7月)してから再来日することを助言しました。こうすることで高校受験に必要な9年間の学歴を得た上で、日本語の習得など高校受験準備に集中することができます。

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教育支援情報 A-002 「各国の学校生活(小中学校)」

 日本の小中学校では、授業参観や家庭訪問があることは当たり前です。しかし、日本以外の国々に目を向けると、それは「当たり前」ではありません。

 来日したばかりの外国人の保護者に、学校の先生や学校外の支援者が、熱心にかつ真摯に学校生活やルールについて説明する際に、日本の学校についてよく知らない保護者は自国の学校を思い浮かべて話を聞きます。通訳を介して「家庭訪問」を伝えた場合、「家庭」と「訪問」は単語の直訳でも「家庭を訪問することである」と伝わります。しかし、例えば、ブラジルでは、子どもが問題を起こした時に学校から先生が家庭に来るので、保護者は日本の学校の先生が何回も家庭に来ることが理解しにくいです。また、「授業」「参観」もその単語の意味は伝わりますが、ブラジルでは保護者が学校に行く機会はあまりありません。

 こういう時に、国に違いがあるという小さな気付きを持っているだけで、いずれも、日本の学校の「家庭訪問」や「授業参観」がなぜあるのか、それがどう子どもにプラスなのかを説明すればよいので、この小さな気付きがあるだけで誤解は小さくできます。

 学校の先生も支援者も保護者も、相手の国の違いを少し知っているだけでコミュニケーションを図ることができます。

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